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TOPコミュニティ連載コラム&チュートリアル>漫願成就 第4回



■漫画のペン入れって少し違う

漫画を描いていてなんとも収まりがつかないのがコマの中の絵だったりします。イラストとか書いてると変じゃないのに、漫画のコマになったらとたんに「いまいち感」が大きくなるって事あるんじゃないですか?コマの中に上手く絵を入れられないという可能性もありますが、絵が上手く入っているのになんとも力がないというか、ちょっとさびしい感じがする。そんなときには、ペンタッチの強弱のつけ方を間違えている可能性があります。

漫画のペン入れと、キャラ一人だけを描くようなイラストのペン入れってちょっと違うんですよね。

その理由はふたつあります。ひとつ目は,コマの枠線の存在。ふたつ目は、漫画が前のコマと次のコマとの関係で作られるひとつらなりの絵の一部であるということです。
ひとつ目の、枠線の存在はイラストだとありえないでしょ。定規で引いた黒い直線で囲まれたイラストなんてねー、ちょっと特殊なケースですよね。まぁ、あったとしても絵の要素としてきちんと目に入る形で構成するのが普通ですよね。でも、漫画の場合は枠線は「そこにあるけど存在しないもの」としてとらえる約束なんですよね。この特殊な枠線の条件(見えるけど目立ってはいけない)が実際にペンを入れるときにどの辺に影響するかっていうと、ペン線の「基本の太さ」に影響するわけです。「基本の太さ」ってのは、ペンに強弱をつけて描いていくとき、漫画全体で標準的に使われる人物の大きさのペン線の太さのだいたいの平均の太さのことを指します。まぁ、よく出てくる大きさの人物のペン線のだいたいの太さって感じでいいです。←長いですね。とにかく、この「基本の太さ」と枠線の関係が意外に重要で、基本は「基本の太さ」は枠線より太くならないようにするってことなんですが、これは逆に枠線が「基本の太さ」より細いことで成立する場合もあるので、その辺は自分の絵柄に合わせて0.1ミリ単位で枠線の幅を変えてみて確かめてみることです。
で、今回ネタとして取り扱いたいのはふたつ目の、絵の連続性を意識したペン入れのほうです。

■連続した絵の特徴

さて、では連続した絵を意識するというのはどういうことでしょうか?


漫画の絵は、<例>のように右から左、上から下に順番に見てゆきます。もちろん、この見方というのは「お約束」なので、日本の漫画読みなら黙ってても自然にこの順番で読んでゆきます。そして、コマの大きさの違い、コマの中に入る絵の大きさにの違いよって感じる空間感の差をリズムとして感じて、ただ絵を並べたものではなく「漫画」として時間の変化を感じてゆくのですね。

コマの大きさのリズム
コマの中の絵の大きさによって感じる空間

どうでしょう、感じはわかりますか?コマ割をするというのは、この漫画の特別な動きをパズルのように組み合わせて漫画を描いてゆくことなんですね。でも、これだけだと実は漫画のコマ割としては今ひとつしまりのないもになってしまいます。足りないのは、「流れ」や「止め」演出です。「流れや止めぇ?」、そうです詳しくはコマ割の演出として回を変えて解説してゆきますが、漫画の演出はイメージとして音楽の楽譜のような面があります。楽譜の音符が絵、四分音符とか十六分音符とかが絵の空間の大きさや大きさの差と考えてみてください。「流れ」とは、音楽が決められたテンポにしたがって流れていくイメージですね。そしてここで言う「止め」というのは、楽譜上では休符や転調のようなものです。それまでの演出と、これからの演出が変わるとき「ここで変わりますよ」という宣言が必要なんですね、そこでそれまで流してきた「流れ」を「止める」ことでその宣言をするわけですね。で、「流れ」も「止め」もその前後の構図との関係で作っていくのですが(これも後ほど)ペン入れもコマの中で目を「流れ」に沿って動かしやすい、動かしにくい、に影響が強いのでどうしてもコントロールしないと、コマのおさまりはいいのだけどなんかページ全体でみるとチョト変な感じなんて物になってしまします。そこで漫画絵のペン入れは、この「流れ」、「止め」を助けるように強弱をつけなければいけないんですね。

■ペンの強弱で流れのコントロールをする

強弱なし
強弱あり

ペンの強弱が漫画では特に大事なものらしいなーと感じてもらえましたでしょうか。上の例はペンの強弱の「ある」、「なし」を少し極端に作ってみた例です。どうでしょう、何かこまの中に動きの差がある事を感じませんか?

強弱で感じる動きの差

強弱の有るほうが、無いものよりも動きがあるように(目を有る方向に動かしたくなる感じ)感じませんか。これがペンの強弱による「流れ」のコントロールです(これ以降「視線誘導」と表記します)。では、次にこの強弱をさりげなくしたり強調したりしましょう。

強弱の程度差

これも強弱にしたがって、視線誘導の強さも変わりますね。では、この同じ絵の視線を上下左右に振ってみましょう。

上下左右に振ってみよう

どうです?微妙だけど、ちゃんと上下左右に視線が振られますね。聡い人は、絵を見てこのあと何を言いたいかわかちゃってるでしょうけど、まぁ最後までお付き合いくださいね。
どこの違いで視線の振られ方が変わるのかは、強弱のついているところに注目してもらえばわかります。とても単純化すれば下の例になります。

強弱って結局はこれのこと

納得できましたか。どうしたって、弱い線から強い線に目がいけば止められる感があり、逆に強い線から弱い線へと目がいけば動く感じがするもんです。つまり、視線を送りたい方向と逆側に太い線を配置すればいいということです。その理屈で上下左右に視線を振ったものを単純化したのが次の例です。そして、これは斜めもいっしょなので、下にその単純化したものとペンで再現したものを描きます。

上下左右はこんな感じ
斜め

でも、これだけじゃ表現力が足りないので、チョッとだけ強調とか、コマの間の動きは強いけど人物もちゃんと目を止めて欲しいぞっ、とかの修整が加わっていきます。これも単純に、線を加える、濃いところの量を増減させるなどで処理してゆきます。

線の足し引き修整
濃度差による修整

では、これに基づいて描かれた作例を、って言っても別に普通に漫画を読んでもらって十分なんですけど。ここは一応まとめとして適当な一ページを作ってみました。単純化した図も作っておくので参照してください。

実際の使われよう
単純化

どうですか、特に中身のないコマ割ですがパッと見何か話がありげでしょう。これがコマ割の視線誘導が働いている結果です。このように、ペン入れの強弱ををコマの流れに沿って変化してあげることでコマ割の見やすさは良くなる←コマの中のおさまりが良くなるわけです。

レッツチャレンジ!



第5回へ続く

・1#まずは落書きだ
・2#人物の描き方
・3#3DLTはすごいぞ!!
・4#ペンで描くときもコツコツと
・5#視線は動くのか動かすのか〜構成その1〜
・6#集中線とスピード線と視線誘導/前編
・7#集中線とスピード線と視線誘導/中編
・8#コマ割と集中線と視線誘導/後編
・9#コマ割と集中線と視線誘導〜補足〜
・10#フキダシと視線誘導〜あまりにもビミョーな話〜
・11#続・フキダシと視線誘導〜あまりにもビミョーな話〜
・12#続々・フキダシと視線誘導〜あまりにもビミョーな話〜